特許調査をスムーズに進めるために知っておきたい知識や特許出願の要件

特許調査前に知っておくべき基礎情報をご紹介!

医療・介護分野、ヘルスケア領域において、特許出願の調査をご希望の方はいませんか?
特に、デジタル技術を活用したデータ分析をスマートに進めるためには、調査手順や特許要件について詳しく把握しておくことが大切です。
ここでは、特許出願における調査で知っておきたいポイントをご紹介します。また、特許出願の要件についてもご説明しますので、ぜひ確認してみてください。

デジタルヘルス分野で特許調査を検討中の方へ

デジタルヘルスとは、最新のデジタル技術を活用して医療・介護やヘルスケアの効果をアップさせることをいいます。
超高齢化社会を迎え、医療・介護やヘルスケアの業界は多くの課題を抱えています。診断や治療だけでなく、予防医療や健康増進の分野においてもデジタル技術の活用が求められています。
まずはデジタルヘルスの目的と、業界における特許出願の傾向について見ていきましょう。

特許調査前に~デジタルヘルスの目的~

書類を持った医者

デジタルヘルスには、大きく二つの目的があるといわれています。一つ目の目的は、医療サービスをより幅広く提供することです。
従来の医療サービスでは、患者や健康維持を目指す方などが医療機関に足を運ぶことで実施されてきました。

しかし近年では、遠隔診療やオンライン薬局などが導入され、医療サービスの手法が広がりつつあります。また、オンライン治療・薬局のアプリケーションの開発にも力が注がれています。
コロナ禍、アフターコロナの時代だからこそ、多くの方が安心して受けられる便利な医療サービスが求められているのです。

デジタルヘルスのもう一つの目的は、医療機関の業務効率化です。電子カルテを活用した情報共有や遠隔による医用画像の読影診断、AIによる診断、患者の見守りを行うアプリケーションやデバイスの開発など、注目を集める技術は数多くあります。

現在開発が進められているデジタルヘルス技術を活用すれば、診断・検査・治療・予後、そして予防などの段階ごとに的確な医療を提供することが可能となります。

IT技術の進化は、デジタルヘルスの領域に大きな影響を与えると期待されています。既に開発されている技術も随時アップデートが行われ、技術の精度が高まっています。
現在、デジタルヘルスの市場はアメリカドルで860億ドル規模にも達すると見られ、今後も20%程度の成長率で市場規模が拡大していくことが予測されます。

特許調査前に~デジタルヘルスの出願傾向~

ガラス窓にデータを書く
海外でのデジタルヘルスの出願傾向

アメリカでは近年、デジタルヘルス開発がハイスピードで進められており、現在では年間4,000件を超える関連出願があるほどです。アメリカの特許出願の多くは、電子カルテを軸とした院内情報共有の技術です。
電子カルテ自体はそれほど新しいものではありませんが、高い精度で情報を記録する技術や共有する技術が次々に開発されています。

また、病気の予後観察や予防に関する領域のデジタルヘルス開発が特許出願されるケースも増えています。
例えば、バイタルデータや遺伝子情報のデータ分析で疾患リスクを予測する技術の開発や、健康情報を記録するヘルスケアアプリケーションの開発は、重病への予防につながることから大きな意義があると考えられます。

また、中国のデジタルヘルス関連出願数も年々増加しています。中国におけるデジタルヘルス関連の特許出願は2015年頃には数百件程度でしたが、現在ではアメリカに匹敵するほどの水準にまで高まっています。

業界におけるデジタルヘルスの出願傾向

デジタルヘルス領域における特許出願を行うのは、介護医療機関や医療機器メーカー、製薬企業だけではありません。近年では、データ分析のノウハウを持つ大手IT企業がデジタルヘルス分野に参入する例が目立っています。
AI関連技術やビッグデータ解析技術を持つIT企業であれば、データ分析による疾患のリスク予測や医療情報の分析といった、デジタルヘルスケア領域における技術開発も容易です。また、IT関連会社やスマートフォンメーカーが健康増進、予後観察のためのアプリケーションを開発する例も増えています。

遠隔医療

遠隔医療の分野で特許出願が行われるケースも少なくありません。
患者が医療機関を訪問し、診察や治療を受けるのが当たり前だった時代には、特許出願の傾向も医療機関内の診断や薬の処方に関するものに限定されていました。
しかし、デジタルヘルスの分野では、遠隔で患者の状態をチェックしたり、患者が自ら日常生活の様子を記録したりといった方法で、治療や予防医療を行うことができます。従来の診療方法を超えて幅広いケアができる情報社会だからこそ、デジタルヘルスの分野における特許出願の数が飛躍的に増加しているのです。

特許調査前にお伝えしたい審査基準のポイント

出願をすればすべての発明が必ずしも特許を受けられるわけではありません。特許庁は特許調査においていくつものポイントをチェックしており、特許を受けようとする時には、特許法で定められている要件を満たしておく必要があります。
ここからは特許調査の審査基準を見ていきましょう。

特許調査前に~特許が認められる要件1~

小さい積み木をつまむ

特許審査では、産業において利用できる可能性があることが求められます。特許には、産業の発達を図るという確かな目的があるため、特許を受けるにはその技術が産業として利用可能か否かを確認しなければいけません。

ここで注意したいのは、人体の手術や治療に直接的に関わる手法の発明は、特許出願ができないおそれがあるという点です。直接の医療行為を特許によって独占することは、医療行為に制限が課されることにほかならず、適切ではないとみなされるのです。
ただし、医療機器や医薬などの開発は発明に該当するため、特許の出願が可能です。デジタルヘルスの分野において特許出願ができるかわからない時は、専門業者に相談するなどの方法で対処しましょう。

特許・実用新案審査基準の特許要件の一つである「発明該当性および産業上の利用可能性」には、産業として利用できない発明や実際に運用できない発明は、特許と認められないと記載されています。

技術開発の中には産業としての目的を持たず、学術的または実験的にのみ利用できるものもあり、こういった技術は特許として保護することが適当ではないとみなされ、特許審査を通すことができません。
理論上可能と思われる発明であっても、実際の運用が難しい技術を開発した場合には、特許が認められることは少ないので注意しましょう。

また、新規性があることも特許審査の要件の一つです。特許・実用新案審査基準の特許要件における発明該当性および産業上の利用可能性には、新規性に関する表記があります。
これによると、特許出願前に既に知られている発明や頒布された発明、過去に実行された発明は特許として認められないことになっています。

既に多くの方に知られている発明に、特許という独占権を付与することにはメリットがありません。
論文や書籍、インターネット、テレビ番組などで公開された発明には新規性がないとみなされ、特許出願ができないことがあるので気をつけたいものです。

特許調査前に~特許が認められる要件2~

会議で資料を見る

特許の出願においては、進歩性があるか否かが精査されます。
特許法では、その発明技術の分野で一般的な知識を持つ方が同じようなものを容易に発明できる場合には、進歩性がないとみなされ、特許要件に該当しないと定められています。

例えば、既に使用されている医療系の発明を少し改良しただけのものであれば、医療介護やデジタルヘルス開発を行う業者であれば、その改良方法は容易に思いつくと予想されます。
多くの方がすぐにその方法を思いつくような発明の場合は、特許が付与されることはありません。

また、他の方より先に出願されていることも、重要な特許要件といえます。
発明においては、別々の方が同じようなものを同時期に完成させるというケースも少なくありません。この時特許が認められるのは、最初の発明者ではなく先に特許を出願した方です。

特許法において、別々の日に酷似した特許出願があった時には、先に出願した方のみが特許を受けられると定められています。
レアケースですが、同一の日に同一の特許出願が行われた場合には協議が必要になり、協議が成立しなかった時にはいずれの特許出願も却下されます。

特許法では基本的に、発明者ではなく先に発明を公開しようとした方を保護することになっています。発明を特許出願したい時には、できるだけ早く行動に移したほうがよいでしょう。

そして、特許要件には公序良俗に反しないことも条件として挙げられています。
産業として利用でき、新規性や進歩性が認められるものでも、公の秩序や善良の風俗、または公衆の衛生を害する発明、人道的ではないと思われる発明は特許を受けることができないので注意しましょう。

特許の事前調査で医療介護分野のデジタル技術の向上を図ろう

現在は遠隔ヘルスケアシステムをはじめとした、デジタル技術やデータ分析技術が注目を集めており、特許調査の件数も増加しています。
医療・介護における新たな技術を開発し、特許出願を希望する際には、早めに特許調査の手続きを進めておきましょう。

とはいえ、特許出願にはいくつものフェーズがあり、手続きが難しいとためらっている方もいるかもしれません。こういった場合には、デジタルヘルス分野のコンサルティングを行う専門業者に依頼し、データ分析や特許調査を進めていく方法がおすすめです。
株式会社ピクシストでは、医療、介護、健康管理などの分野のデジタル技術に関するコンサルティングを行っています。特許調査の依頼をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

特許調査のことなら株式会社ピクシスト

会社名 株式会社ピクシスト
代表者 関根 章博
設立 2020年10月
資本金 300万円
住所 〒300-0028 茨城県土浦市おおつ野7丁目11−6
電話 029-879-5921
メールアドレス info@pyxist.co.jp
URL https://www.pyxist.co.jp/
事業内容
  • 医療、介護、健康管理に関するシステムの開発
  • 知的財産に関する調査、分析及び情報提供